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情報が多い日本のサイトは「ダサい」のか — 売れているデザインから学ぶ

2026.11.06

文字が多い、色が多い、バナーが多い。日本の大手ECや老舗の通販サイトは、そう言われがちです。この記事では、その情報量を欠点と決めつけず、なぜ残ってきたのかを考えます。

🍵 実物はこちら → 老舗茶舗の通販サイト「碧泉堂」デモ(架空のお店です。画面上部のボタンで、情報凝集とシンプルの表示を切り替えられます)

「シンプルが正解」は、誰にとっての正解か

デザインを学ぶとき、手本になるのは美術大学の課題、洗練された海外サイト、Pinterestのコレクションです。そこでは余白が広く、言葉は短く、写真が大きく使われます。美しいのは確かです。

ただ、国内の買い手が求めているものと一致するとは限りません。写真と価格と購入ボタンだけのページでは、送料も、届く日も、他の人の評価も分かりません。買うつもりで来た人ほど、答えを探して離れてしまいます。

なぜ日本語圏では情報量が受け入れられるのか

よく挙げられる説明が2つあります。どちらも有力な仮説です。

後者には、関連する研究があります。日本・ドイツ・米国を比べたVishwanathの研究では、不確実性を避ける傾向が強い日本の利用者は、情報が限られた状況で行動が大きく変わると報告されています。またKoらの研究(2015)では、韓国の消費者には自国の文化に合わせたサイトが効果的で、米国の消費者では支払意思額に有意な差が出ませんでした。

一方で、欧米ではシンプルでないと読まれず離脱されやすい、という話もよく聞きます。ただ、これは現場の実感として語られることが多く、国別の離脱率を厳密に比べたデータを、私たちは確認できていません。

ガイドラインは「売り方」までは教えてくれない

AppleのHuman Interface GuidelinesやGoogleのMaterial Designは、優れた資料です。操作の一貫性やアクセシビリティを学ぶうえで欠かせません。

しかし、これらはOS上のアプリを使いやすくするための基準です。日本の買い手が何を見て購入を決めるのかは書かれていません。これだけを手本に国内サービスを作ると、整っているのに売れない画面になる恐れがあります。

楽天のような巨大サイトから学ぶ理由

楽天市場をはじめ、国内で長く売れ続けているサイトの画面は、デザイン賞の基準では評価されにくいかもしれません。それでも、億単位の予算が動く事業で、何年も改善が重ねられ、生き残ってきた画面です。そこには、美術的な良し悪しとは別の知見が残っています。

私たちが注目しているのは、次のような要素です。

もちろん、そのまま真似てよいわけではありません。巨大サイトが売れている理由には、ブランド、品揃え、ポイント制度も含まれます。多くの店舗が同居するモールならではの事情もあります。学ぶのは見た目ではなく、その要素がどの不安を解消しているかです。

実行ボタンの前に説明を置く、というおもてなし

日本向けの画面で、私たちが特に大切だと考えているのがこの点です。「購入」や「送信」のボタンを押す前に、押すとどうなるのかを説明しておくことです。

対面の接客を思い浮かべてください。良い店員は、会計の前に「送料はかかりません」「明後日には届きます」「包装は無料です」と先に伝えてくれます。お客様が聞く前に不安を取り除く。これは、おもてなしの考え方そのものです。

ボタンだけが置かれた画面は、見た目はすっきりしています。しかし、押す人には「押したら買ったことになるのか」「いくらかかるのか」という不安が残ります。説明は画面の邪魔ものではなく、安心して押してもらうための接客だと私たちは考えています。

ボタンの直前に書く内容は、次の4つが基本です。

大切なのは、ボタンから離れた場所に書かないことです。ページの下にまとめた注意書きや別ページのガイドは、押す瞬間には読まれません。説明とボタンを、ひとかたまりに見えるように置きます。

<!-- 説明とボタンを同じかたまりにし、読み上げでも関連づける -->
<div id="beforeBuy">
  <p>送料 550円(あと1,760円のお買い上げで無料)</p>
  <p>このボタンを押すと、商品がかごに入ります。まだ購入は確定しません。</p>
</div>
<button aria-describedby="beforeBuy">買い物かごに入れる</button>

長ければ良いわけではありません。ボタンが画面の外に押し出されるほど長い説明や、不安をあおる文言は逆効果になりかねません。短く、具体的に書きます。

デモでの設計

架空の茶舗「碧泉堂」のデモでは、ここまでの考え方を売り場にしました。

AIが出す「標準的な正解」を、人が見直す

私たちも、サイトの制作にAIを使っています。AIは、整った標準的なデザインを短時間で出してくれます。余白があり、配色がそろい、操作の定石にも沿っています。出発点としては、とても優秀です。

ただし、それが標準的な正解であることと、そのお客様にとって最適であることは別です。売る地域はどこか。その文化で何が安心につながるのか。業種ごとの買い方はどう違うのか。こうした点に合っているかどうかは、人間がしっかり見ていく必要があります。

たとえば、贈答用のお茶の通販なら、のしの有無やお届け日が購入の決め手になります。こうした細部は、何も指定しなければ、きれいな標準の画面からこぼれ落ちてしまいがちです。AIで作る時間が短くなった分、「この地域の、この業種の、このお客様に合っているか」を考える時間に使うべきだと私たちは考えています。

どう判断すればいいか

一番確実なのは、自社の顧客で試すことです。流行や好みではなく、アクセス解析や比較テストの結果で決めましょう。

「シンプルにしたのに売れない」と感じていませんか。

今のサイトで、お客様が何を探して離れているのかを確認するところからご相談いただけます。

相談してみる →